
・メリット
制御盤業界では盤を組上げる人が電気の教育を受けたエンジニアとは限らない。
これらの人たちにルール通りにケーブルのレイアウトを実施してもらうために、ケーブルダクトはその本来の役目以上に配線ルールを守るための強制器具として機能している。
また、制御盤のドアを開けたときにダクトで仕切られたゾーニングは機器の視認性が上がる効果があり、直角平行を基本とする製造業の美的感覚にマッチしている。
・デメリット
直角平行でしかレイアウトできないためケーブルは長くなり、大きなループ面積を作ってしまいEMCリスクを大きくしている。
重畳した高調波の周波数にもよるが長く並走したケーブル間でクロストークやFG間の寄生容量による地絡が起きる可能性は高い。
また、並走するケーブルが10年以上エイジングするとアークフォルトという短絡が起きることは世界の航空機事故で10件以上も報告されている。そのリスクはケーブルの長さに比例し25Vを超えると電圧に関係なく発生する。
制御盤のケーブルは30年程度を目安に設計されているが雰囲気の悪い製造業ではこの数字はまったく当てにならない。機器の放熱については決定的に不利がある。
前述のゾーニングは視認性ではメリットとなったが、逆に機器の発生熱をゾーンに滞留させる。
対流効果を前提にした盤内クーラの冷気はダクトで遮られたゾーンには届きにくい。
ある欧州制御盤メーカの実験データによるとダクト付制御盤の盤内温度傾斜(最高温度と最低温度の差)は25度Kに達し、ダクト内部は最高地点で50度Cに達していた。
これに対しダクトレスの温度傾斜は15度K、最高温度は40度Cであった。
電気部品には10度半減という寿命法則がある。
つまり、その許容温度を10度K超えると寿命は半分になるという電気材料の法則である。
この例から分かるように、ユーザは制御盤の特性により機器の熱定格を下げ、結果として過負荷で使っているケースが多い。
日本では空調が切り替わる5~6月頃から機器エラーや故障が多発するのは、これが誘因になっていると考えられる。


2008年国際工作機械見本市(JIMTOF)にダクトレスの制御盤をダクト付と対比させて出展した。
さらにダクトレスにすることで縦ダクトをなくし機器間を最短で結線する方法(グリッド配線)を紹介した。反響は大きかった。
エンドユーザには合理的と評価をもらい現在、3社の自動車メーカで具体的な導入に入っている。
工作機械メーカは大型マシンのメーカと小型マシンメーカで意見が分かれた。
大型マシンの場合、マシン自体がすでに大きいので制御盤サイズの影響は大きくないという。
小型マシンの場合は制御盤が今の半分になればマシンと一体化できるとそのメリットを評価する。
制御盤メーカはエンドユーザが賛成ならいいという主体性のない答えが多く、反対という意見もあった。
反対の理由は(1)配線に手間がかかる (2)グリッド配線は見た目が汚い (3)回路増設時などの作業性が悪いこれに対するユーザの意見は、(1)配線の手間は制御盤メーカの工程から来るもので柔軟な工夫でカバーできるし、それは制御盤メーカマター。
(2)見た目が汚いというのは盤のドアを開けての話。その機能、安全性に問題がなく盤の小型化ができればグリッド配線の選択肢は排除しない。グリッドが無理なら縦ダクトを使えばよい。
(3)増設時などの作業性が悪いという考え方自体が問題。安全管理上、制御盤は簡単に回路増設できない仕組みにすべき。
現在工事中
10月までお待ちください

ジョーダクトの出現によりダクトは減ったとしてもケーブルがなくなるわけではない。
ケーブル線積がある以上、制御盤のダウンサイジングには限界がある。
微小な信号電流でさえ0.5スケのケーブルが堂々と使われている。
逆に同じ0.5スケを40℃雰囲気で5Aを流し、システムダウンした例もある。
ユーザが規定の30℃以内の雰囲気温度で使うとは限らないのである。
さらにケーブルとCPなどの小型機器をAC、DCに関係なくプリント基板にインテグレーションする試みが始まった。
昔、ラジオが真空管で動いていた時代、ケーブルはラグ端子で半田付け結線されていたものがトランジスタの出現でプリント基板にまとめられ、ソリッドステートと呼ばれたシーンに似ている。
すでに日本の工作機械では標準化のための基盤化が始まっているが、部分的であるため盤全体に与える省スペース効果は限定的である。
今後はたとえば30A以下の電流はACでもDCでも基盤上でマネージメントする仕組みができるだろう。
DINレールは残るがPCBマウントも重要な部分を広い面積で担うだろう。
その基盤の試作、あるいは小ロット生産においても日本はエッチング以外の生産手法(マシニングによるPCBのプロトタイピング)を国内に有していることから、ニーズに細かく対応するテーラーメイド・デザインが短時間・低コストでできる強みを持っている。
今、欧州を中心にダクトレスとグリッド配線が進行中である。
たしかに、機器は進化したがそれを取り巻く箱と結線手法は
真空管時代のままだ。
定格30kWのマシニングセンタがあったとしよう。
その内、いくらの電力が熱に変るか。
答えは30kWである。つまり、すべてのエネルギは最後には
熱に変るのである。
その熱をいかに制御盤の中で少なくしマネージメントするか。
これは制御盤エンジニアの重要な仕事である。
by イーティーエィコンポーネンツ 代表取締役 江角敏史
上記のダウンサイジングについて興味を持たれた方は何時でもご相談ください。
お客様に合ったダウンサイジングをご提供いたします。
お問い合わせはこちら